転職に役立つキャリア理論
■転職に役立つキャリア理論のご紹介
転職を考える人にとって、人生の中で大きな転機が訪れた、または訪れる予定があるため、決断を迫られるものだと思います。
今回はその決断の際に参考にして頂きたい理論や視点をご紹介します。
『4Sトランジション・モデル』ナンシー・K・シュロスバーグ
シュロスバーグによると、人生はトランジション(転機)の連続からなり、人のキャリアは、それを乗り越えるプロセスを経て形成されていくとし、トランジションを乗り越えるための対処法を提唱しています。
■トランジションの種類
①イベント型
予期したこと、期待したことが起きること
例)就職、転職、失業、引越、結婚、出産、病気、親族の死等
②ノンイベント型
期待したことが起きないこと
例)希望した会社に就職できない、昇進できない、結婚できない、子どもができない等
■客観的視点の重要性
転機のプロセスは、
①転機の始まり(喪失や否認)
②転機の中(空虚と混乱)
③転機の終わり(嘆き、受容)
に分けられており、こうした視点を持つことによって、転機を客観的に把握出来ることが重要です。
■キャリア転機の時の乗り越え方
<ステップ1>
転機を見定める
<ステップ2>
リソース(資源)の点検=4S点検
①状況(Situation)
②自己(Self)
③支援(Support)
④戦略(Strategy)
<ステップ3>
受け止め、対処する
■ステップ2が重要
転機に直面した際にこれを乗り切るために利用できる内的資源を4つ(状況:Situation、自己:Self、周囲の支援:Support、戦略:Strategies)に分類し、それぞれを客観的に点検することが重要です。
①状況:Situation
原因:このような状況がおきた原因は何か。何を選択したことで生じたのか。
予期:現在の状況は社会的に予測することが可能であったか。突然起こったことなのか。
期間:一時的なことなのか、永続的なことなのか。
体験:同じような転機を経験したことがあるか。その時の気持ちや状態はどうか。
ストレス:現在の問題以外に抱えているストレスはあるのか。
認知:状況をどの様に捉え、受け止めているか。好機なのか、危機なのか。
②自己:Self
仕事の重要性:仕事はどの程度重要か。どの部分(地位、給与等)に興味があるのか。
仕事と他のバランス:仕事、家庭、趣味、地域のバランスをどう考えるか。
変化への対応:変化への対応はどのようにするのか。立ち向かうのか、受容するのか。
自信:自分に対する自信はあるか。新しいことに挑戦しようとしているか。
人生の意義:人生にどのような意義を持っているか。
③支援:Support
良い人間関係:必要とする援助を他人、友人、家族から得られるか。
励まし:自分の成功を期待し励ましてくれる人はいるか。
情報:仕事を探す方法、企業や雇用に関する情報などを収集できるか。
照会:解雇された時の経済的支援制度等に関する知識や情報の提供者はいるか。
キーパーソン:重要な情報を提供してくれる人はいるか。その人からの支援は望めるか。
実質的援助:経済的支援など実質的な援助を望めるか。
④戦略:Strategies
状況を変える対応:職探し、新たなトレーニングを受ける等を実行しているか。
認知・意味を変える対応:転機の持つ意味をプラス思考に変えようと試みているか。
ストレスを解消する対応:リラクゼーションや運動等でストレス解消を図っているか
転機を乗り越えるためには、4Sを点検した上で、具体的戦略を立てることが必要です。豊富な選択肢を用意すると共に、自分自身の理解を深め、主体的に取り組みましょう。
■3つのシステム
ライフ・キャリア上の様々な転換期をうまくその個人が乗り越えられるか否かは4Sに左右されるますが、その転換期を支援する「3つのシステム」の存在があれば、転換時に発生する様々な問題も解決することができます。
①キャリア転換を支援する公的機関や民間団体
ハローワーク、職業紹介所、人材ビジネス等の活用
②転換期をうまく超えるための経済的資源、物理的条件の存在
③転換期を支援し支えてくれる人々、人間関係の存在
キャリア転換時にはこれら3つの支援システムのうち何が充足しているか、何が欠けているかをチェックし、もし欠けているものがあるならば、それを具体的に如何に補うか、補うことはできるのかなども考えていきましょう。
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